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ごあいさつ [はじめに]

1903大列車強盗2.JPG
創世紀の映画の代表作「大列車強盗」1903

  この1カットが、図らずも未来の映画を暗示しているのです。

ごあいさつ
「映画技術おもしろ発達史」を独立させていただきました。

こんにちは。

So-netブログで満7年間、自分史ブログと称して「時計仕掛けの昭和館別館喫茶室」を開かせていただいているsigと申します

新しく設けさせていただいたこのブログは、20081月より開設の「時計仕掛けの昭和館」の中で、20089月より20105月まで79回にわたり、従来の印刷という紙のメディアではなく、「文字」「図形」「静止画」「動画」「音声」による、映像を語るに最適なマルチメディアブログを意識して連載した「映画技術おもしろ発達史」という1カテゴリーを独立させたものです。
  

 同カテゴリーの完結後は、映画史における特に技術史的視点から、いろいろな場で、新しく知り得た事柄などを交えてお話させて頂く機会もあったことから、過去記事に書かなかった事柄を追加するなど、手を加える必要性を感じておりました。
 という訳でこの新ブログでは、かなり大幅に加筆修正しながら、順次過去記事改訂版の連載を進めて参りたいと思います。
 
 

 19世紀末に誕生し、20世紀にみごとな完成を見た映画は、21世紀、更なる発展を目指して躍進中です。特に今年2015年は「映画誕生120周年」に当たります。映画に関する興味の高まりを願い、もしこのブログが日常の話題の中で、少しでもお役に立つことができればうれしく存じます。

                          2015年1月

                          


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001 「なぜ」「どうして」の対象がフィルムだった映画少年。 [はじめに]

P1060499-2.JPG

●すべては光と影を記録する"時間の帯"を手に入れた時に始まる。


001 序に代えて


「なぜ」「どうして」の対象がフィルムだった映画少年。


 昔…。そう。はっきり言えば1947年。戦争直後と呼ばれている時代です。私が小学校に上がったばかりの頃、良い映画とされる作品は文部省推薦というお墨付きを受け、学校ぐるみで観覧に行ったものでした。

私が初めて見たカラー映画は、ディズニーの「ダンボ」でした。それは小学校の体育館に暗幕を張って上映されたのですから、映画館からの出張上映という形だったと思います。
 
それまで白黒映画しか知らなかった私にとって、それは文字通り目を見張るほど鮮明だったばかりでなく、色彩の鮮やかさは気が動転するほどのショックでした。

大人になってから考えると、それまで見せられていた映画は、白黒16ミリ映画。対する「ダンボ」は格段の鮮やかさを誇るイートマンカラーで、映写機も35ミリフィルムを使った本格的な上映会だったのです。今でいえば、16ミリの1駒をハイビジョン画質とすれは、その4倍以上の4K画質に例えられます。

映画観覧から帰ると、興奮している私を茶化すように、一周りも歳の違う長兄が言った言葉が、以後ずっと私の頭の中に残ることになります。
「映画はね、写真の影なんだよ。みんなフィルムの影を見て、喜んだり悲しんだりしているんだよ。面白いね」

最初はよく分かりませんでした。けれども大きくなるにつれて、その意味が少しずつ分かってきました。フィルムに連続的に定着されている画像は、光と影で構成されるもので、それが「動く写真」の正体なのだ。
 
動く写真は時間の経過を伴う。では、動く写真を記録したフィルムとは、目に見えないはずの「時間」を見ることができる「時間の帯」ではないか…。
 更にその時間の帯は、カットが変わるだけで昼から夜へ、日本から外国へ、海底から宇宙へと自在に飛躍する。まるで瞬間移動の魔法のように…。「タイムマシン」とは映画のことではないか。なぜ人はこのようなものを考え出したのだろう。

このような関心から始まった私の映画への興味は、映画そのものを楽しむことはもちろんなのですが、監督がどうの、作品がどうの、俳優が、音楽が、ということよりも、どちらかというと、その大本である、どうして写真が動くのか。「映画」はどのようにして生まれて来たのか。もっといえば、「人と映画」「世の中と映画」というように、「映画」というメディアそのものへの興味に向いたのでした。

素直に映画を楽しめばいいものを、物事を斜(はす)に見たり、うまい話には必ず裏があると斜めに構えたりする癖は、このあたりからかも知れません。

ところで今年2015年は、映画が誕生してから120周年を迎えます。

 19世紀末に誕生し、20世紀に完成を見た映画は、21世紀に入るとこの1~2年で、それまでのアナログ記録のフィルム方式から一気にデジタル方式に代わりました。映画の製作現場や配給から上映に至るシステムのすべてがデジタル方式に転換してしまったわけですが、とはいえ、当面、それによって「映画」というメディアの本質が変わる訳ではないでしょう。

デジタル時代は、アナログ時代には考えられなかったCGの出現により、「映画」は芸術・娯楽分野に限らず社会的にもいろいろな分野で極めて広範な活用が見られるようになり、「映像」というより広い概念で語られるようになりました。

今後更なる発展が期待される「映像」分野も、その原点はフィルムが築いてきたものであるということは、決して忘れてはならないと思うのです。




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